治し方
①まず、肺経経絡でセキにもっとも効果のあるポイントは親指から太淵、孔最、尺沢、ｷｮｳ白です。これを親指から順次、体の内側の方向に、もう一方の親指の腹で五秒間、五回ずつ押します。とくに腕のキョウ白、孔最はセキやタンをとり除くツボとして知られていますので、激しいセキが出たときに押せばすぐに効果が現れます。
②足の内くるぶしの上七、八センチにある三陰交を親指の腹で押すのも効果があります。これは脾経経絡に属し胸部に通じている重要なポイントです。これを五秒間、各五回、くるみを使っても可。またこの三陰交は足の冷えにも効果があります。
注意すること
ひと口にセキといっても、単なるカゼによるものから、気管支炎、ゼンソクによるもの、老人に多い慢性のものまで、原因はいろいろあります。セキそのものは、呼吸するための空気の通り道に起きた炎症を取り除こうとする一種の防衛反応ですが、その不快感、息苦しさは、なんともいえません。とくにお年寄りや子どもの場合、セキが激しいと、体力が衰弱しがちなので、ひどくならないうちに手当したいものです。
そのためには、横隔膜を動かす腹式呼吸の練習から始め、腹筋を鍛えることがたいせつです。
そのほか心臓病、たばこの吸い過ぎなどからも起こることがあります。いずれにしろ重症の場合は生命にもかかわるので専門医にみてもらい、早めに処置する必要があります。東洋医学ではこのような症状の人は、虚証といわれる虚弱体質の人が多いとみています。
効果をあげる法
①腰に両手の人差し指、中指、薬指、小指の連指をあてます。親指は前面に出して腰をはさみ、大きく鼻から息を吸い、おなかをふくらませます。そして静かに息を、口から吐きながら体をうしろに反らせ、腰背部を両手の四指で押し込みます。息を吐き終わったらゆっくりと上体を元に戻し、呼吸を整え、再び続けます（朝昼晩各10回）。
②仰向けに寝てひざを立てて、両手を頭の後ろで組んで静かに呼吸を整えます。
上体を静かに起こしながら、ハーッと息を口から吐く。
顔をヒザに近づけ、おへそをのぞくようにします。
この運動によって、腹式呼吸を身に付け、腹筋を鍛えます。上体を起こしにくいときは相手に足首を持っておさえるようにしてもらうといいでしょう。セキの発作をいかに早く止めるかは、いかに上手な息を吐き出すかにかかっています。上手に息を吐き出すためには、横隔膜を動かす腹式呼吸の練習が絶対に必要なのです。
治し方
①汗は膀胱経と腎経が支配しているので、この腎経にある湧泉を両手の中指の腹で押してください。これは下腿内面を通って腎に入りますので汗を止めるばかりでなく、だるさもとれます。
②ふくらはぎの真ん中にある承山を親指の腹やくるみを使って押します。これも足の小指からつながる膀胱経に属しているので効果があります。
また同時に足の小指もよくもみほぐしてください。手のひら、手首の親指側の根元で、手首関節に近いくぼみにあるポイント（大淵）は原穴と呼ばれ、肺の機能全体を調節する大事なところです。東洋医学では、汗の調節は肺臓の動きとされ、このポイントを四指（人差し指、中指、薬指、小指）で軽くこすります（三分間）。
注意すること
人前で汗をふきふき扇子をパタパタと動かすのを精力的だと見る人もいますが、これもほどほど。あまりひどい汗っかきは本人もつらく、ハタ目にも見苦しいものです。人間の体には、２００～５００万の汗腺があって、発汗によって体温の調節を図り、夏では1日１．５～２リットルの汗をかくといわれています。ですから、暑いときに汗をかくのは健康の証明ですが、少し動いたぐらいで汗たらたらでは多汗症といえます。
この多汗症は、肥満の人に多くみられます。太っている人は代謝が激しく、そのために汗をかきやすいからです。腎臓の働きの悪い人も、排尿作用がうまくゆかないときなど、体内の水分が汗腺から出てゆくので、汗を多量にかくことになります。さらに、血圧の高い場合も、交感神経の異常なたかぶりによって、汗腺の分泌を盛んにします。
管理職のＦさんは52歳、脂ぎった顔で精力的に活動していますがたいへんな汗かきで、血圧がいつも高めだということでした。
主婦のＩ子さんは少し太り気味で36歳、夏のとくに暑い日でもないのによく汗をかくそうです。よく聞いてみると、この人の場合はいわゆる肥満体に伴う連鎖として肩こりや便秘などの症状とも関連があることが分かりました。
また、手の平に汗をびっしょりかくということがありますが、これは神経的発汗現象であるので、心身ともにくつろぎ、ゆっくりと過ごす時間を作ることが大切です。
効果をあげる法
胸の第二肋間で、ちょうどリュックサックを背負ったとき、ひものあたるポイントは肺の邪気が集まるところで募穴と言われています。これを同じく四指で軽く回しながら刺激します（二分間）。